ゴルフ場の芝生は本当にペイントしているの？――知られざる維持管理の実態

ゴルフコースの芝生を美しく保つために、「芝生に塗装（ペイント）をしている」と聞いたことはありませんか？
実は、一部のゴルフ場では冬場の芝が茶色くなる時期や、水不足・コスト削減などの理由から、専用の塗料を用いて着色を行っているケースがあります。
本記事では、ゴルフ場が芝生をペイントする背景やメリット・デメリットなど、その実態に迫ります。

1. 芝生をペイントする背景

1-1. 冬季や気候による芝の変色

寒冷地などでは冬に芝が休眠状態に入り、地上部が茶色くなることがあります。ゴルフコースとしては景観やプレイアビリティを維持したいと考えるため、大会やイベントがある時期などには芝生を塗装してでも緑色を保つことがあります。

1-2. 水不足やコスト削減の問題

地域によっては水不足が深刻だったり、水道代やメンテナンスコストがかさんだりする場合があります。そうしたときに、全面的な芝の張り替えやオーバーシード（冬芝の種をまいて育てる方法）ではなく、塗装による一時的な対処を選択するゴルフ場も存在します。

2. 芝生を塗装するメリット

2-1. 見た目の即時向上

一番大きな利点は、短時間で景観を改善できることです。特に大会前や観光客の多いシーズンには、「緑が映えるコース」を保つことが集客力やイメージアップにつながります。

2-2. コスト・水資源の節約

新たに芝を張り替えたり、頻繁な散水を行ったりするよりも低コスト・省水に抑えられるメリットがあります。特に水資源の限られた地域では重要な選択肢となります。

3. ペイントのデメリットや注意点

3-1. 定期的な塗り直しが必要

専用の塗料を使用していても、雨風やプレーによる摩耗などにより色落ちが起こります。定期的なメンテナンスや塗り直しが必要で、管理コストや手間を完全にゼロにすることは難しいです。

3-2. 自然回復への影響

芝生専用の塗料は植物や環境への配慮がなされているものがほとんどですが、完全に無害というわけではありません。芝の新陳代謝や自然な回復力に影響を与える可能性があり、使用の際には専門的な知識や管理が求められます。

4. 実施するかどうかはコース次第

ゴルフコースによって、芝の管理方法や運営方針はさまざまです。大切なのは、コースの立地環境や予算、そしてプレーの快適性・景観などを総合的に考慮して最適な方法を選ぶこと。芝生を塗装することで得られる即時的な美観とコストメリットは魅力的ですが、自然環境への配慮や維持管理の手間も含めて判断することが大切です。